◎遺言を残しておいたほうがいい場合とは
・配偶者や子がいない場合
・子供同士が不仲である場合                   
・離婚した配偶者との間に子がいる場合
・婚外子がいる場合
・不動産その他、財産が特に多い場合
・相続人ではない者に財産を与えたい場合
・子供同士で分配する事の難しい事業を継承させたい場合
・配偶者の将来の事が特に心配な場合
・既に、特定の子への財産分与が完了されている場合
・家族や親族が疎遠であったり、仲が悪い場合
・法定相続人以外(慈善団体等への寄付も含む)に遺贈したい場合

などが一例としてあります。

◎遺言の種類
 「遺言」には以下の種類がありますが、いずれも厳格に方式が定められており、要件に不備がある場合などは、法律上の遺言とはならず、無効とされます。

・普通方式の遺言(3種類)
 自筆証書遺言  公正証書遺言  秘密証書遺言
・特別方式の遺言(4種類)
 死亡危急者の遺言  伝染病隔離者遺言  在船者遺言  船舶遭難者遺言

 

ここでは普通方式の遺言についてご案内します

自筆証書遺言の作成方法、長所と短所
作成方法

 
①全文を自筆で書く

 
②日付を書く(自筆)

 
③署名をする(氏・名の両方を自書する)

 
④押印する

 
要件としては以上の4つだけ。
長所
 ・1人でいつでも簡易にできる
 ・遺言した事実及び内容も本人が口外しなければ秘密にできる
 ・方式は難しくなく、ほとんど費用もかからない
 ・のちに何度でも書き直しできる  etc.
短所
 ・詐欺・強迫の可能性、紛失・隠匿などの危険あり
 ・書き方に不備があると無効になるおそれあり
 ・執行に当たっては家裁の検認手続を要する  etc.

公正証書遺言(近年増えている)の作成方法、長所と短所
作成方法

 
①証人2人以上の立会い

 
②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口述する

 
③公証人がその口述を筆記し、遺言者と証人に読み聞かせる

 
④遺言者と証人が筆記の正確なことを承認した後、署名し、押印する

 
⑤公証人が、上の4つの方式に従ったものであることを付記して署名し、押
印する

  
要件としては以上の5つ。
長所
 ・公証人が作成。内容は明確、証拠力が高く、安全で確実である
 ・原本を公証人が保管。偽造・変造・隠匿の危険がない
 ・家裁の検認手続が不要  etc.
短所
 ・公証人が関与するので作成手続きが繁雑
 ・遺言の存在と内容を秘密にできない
 ・費用・手数料がかかる
 ・証人2人以上の立会いを要す
 ・遺言の書き直しは可能だが、遺言の取り消しにも費用がかかる  etc.

 

秘密証書遺言(実際には少ない)の作成方法、長所と短所
作成方法
 ①遺言書を作成し、署名・押印する(署名を除いて、代筆やワープロでもよい)
 ②封筒に入れ、押印に使用した印章で封印する
 ③公証人及び証人2人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨と、その筆者の氏名、住所(代筆の場合もあるので)を申述する
 ④公証人が日付・遺言者の申述を封紙に記載する
 ⑤遺言者、証人、公証人がそれに署名し、押印する
 ⑥遺言者自身が遺言書を保管する
 以上の要件がある
長所
 ・自分で遺言書を作成した場合は秘密が完全に保たれる
 ・遺言書の存在を明確にできる  etc.
短所
 ・公証人の関与、証人の必要など、手続きがやや繁雑
 ・自分で保管するため、紛失・未発見のおそれあり
 ・遺言の内容自体は公証されていないため紛争の可能性あり
 ・書き方に不備があると無効となるおそれあり
 ・家裁の検認手続が必要
 ・公証人に支払う費用が必要  etc.

 

 

◎自筆証書遺言を書く際の注意点 遺言書に使用する用紙はなんでもかまいませんが、ある程度の保存期間に耐えるものがよいでしょう。また、ペンについても指定はなく、鉛筆でもかまいませんが、上記同様、年月を経ても判読できるような筆記具を使用すべきです。

 

 

 遺言の書式としては、自筆であればよく、縦書きでも横書きでもかまいません。内容から遺言書であると判別できるかぎり、書き出しに「遺言状」などと入れる必要もなく、住所や生年月日なども要件ではありません。日付は重要なので「年、月、日」がわかるように自筆で記入します。「○年○月吉日」のような記載は日にちが特定できませんので無効になります。また、書くのに何日も何カ月もかかった場合は、書き上がった最終の日を記しておけばよいでしょう。印鑑は実印が望ましいですが、認印でもよく、拇印でも可とされています。

遺言書の訂正をする場合は、
・訂正部分に二重線を引き、その脇に正しい文字を書きます
・訂正部分に署名で使うのと同じ印鑑で押印をします
・遺言書の余白に、どの部分をどのように訂正・変更したかを付記し、そこに署名します
以上の方法がとられていなければ訂正は認められず、訂正前の状態が効力を保つことになります。あまりに訂正箇所が多くなった場合は、新しい用紙に書き直したほうがよいでしょう。

 遺言を作成するにあたっては、自分一人で考えるのはもちろん、家族(推定相続人であっても)と相談してもかまいません。相談したあと、自分で最終的に決めればよいのです。
 遺言書は何度書き直すのも自由です。書き直しの際、仮に相続人が前の遺言の内容を知っていたとしても、その者の承諾など必要ではありません。
 遺言書は書いた「日付」が重要です。例えば、古い日付の遺言書とそれより新しい日付の遺言書があった場合、内容に矛盾がある部分については前の遺言を取り消したとみなされます。ただ、遺言書が何十通も出てきた場合、混乱が予想されますので、出来れば古いものは破棄してしまった方がよいでしょう。

 遺言書は特に封筒に入れる必要はないのですが、紛失や汚損のおそれもあるので入れておいたほうが無難でしょう。ただ、封印をした遺言書は、家庭裁判所外で開封すると過料に処せられるので注意が必要になります。
 封筒の表面に「家族一同へ」とか「子供たちへ」などと宛名を書くことは、私書と間違われてしまい、後日遺言書としての効力を争う、などということになりかねませんので避けるべきです。
             
 遺言は、遺言者本人が残された者たちに向けて行う最終の意思表示であり、最大に尊重されるべきであります。それだけに慎重に、落ち着いてじっくりと本心を書いてください。

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