無言のうちに契約している

 社会生活を送っていると、「契約」は日常、至るところに登場します。 スーパーで大根を買ったり、コンビニでジュースを買うのも「売買契約」であります。契約はわざわざ書類にしなくても、口頭による当事者一方の「申込」と他方の「承諾」という意思の合致で成立します。もっと言えばスーパー、コンビニの例では仮に「この大根売ってください」と言わなくても、商品をレジのところまで運ぶことで「黙示」ではありますが、その商品購入について申込みの意思表示をしたとされます。それはそうでしょう、お店のあちこちにある商品をカゴに詰め、レジ台まで持ってきて「暇だったもので、色んなものをここまで運んでみました。また元に戻しといてくれますか」などという人はいません。コントとしての一場面ならばちょっとだけ笑えますが、現実の社会でそんな場面を目の当たりにすれば間違いなく引きます。
 話を戻します。スーパー等での売買は基本的には契約成立とほぼ同時に目的物が引渡され、代金が支払われることになります。つまり債務の発生とほぼ同時に債務が履行されるわけです。ですので「契約の履行」について問題となることは少ないだろうと考えます。
 しかし、口約束により契約は成立しても、例えば売買契約で目的物を引渡すのに時間がかかる場合とか、引渡しに条件が付く場合、また財政状況の変化により買主が代金を払えなくなった場合など、先々で生じる可能性のある問題について細かく想定し、且つ双方が正確にその内容を記憶しておくのは不可能であるように思われます。
 契約書を作ることで、双方が契約内容を正確に把握した上で債務履行の事務処理ができるでしょうし、のちにトラブルが発生した際の証拠資料として活用することもできるでしょう。
 また、これは重要なことですが、契約書を作ることは当事者同士が知り合い・顔見知り・仕事上の馴染みであるときにこそ必要だと考えます。「“契約書”だなんて堅苦しいことを」「そんな大げさな」と思われるかも知れません。勿論、契約の内容や目的物の価額等にもよりますが、よくある「言った、言わない」というほんの小さな勘違い、記憶違いによって無用の諍いが生まれ、それが元でこれまでの良好な関係が修復不可能なまでに破壊されてしまうということは、悲しいですが実際にあることです。

当事者間で自由に結べる
 契約とは、当事者に権利義務を発生させる約束であると言えます。友人同士で「週末、久しぶりに一杯やろう。俺がおごるよ」といった約束が自由にできるように、契約も原則として好きなように結べます。「契約自由の原則」という重要な原則がありますが、それは契約を締結する・しないは自由だし、誰と契約するかも自由、どんな形式にするかも自由、そしてどんな内容の契約にするかも当事者の自由というものです。もちろん、誰かを殴りつける契約であるとか、愛人関係を結ぶ契約のような、公序良俗(公の秩序、善良なる風俗)に反する契約は当然無効にはなりますし、使用者と労働者の間、或いは業者と一般消費者の間のようにその関係性に明らかな力の差、情報量の差などが存在するいわば格差のある当事者間での契約については特別法によって制約されることがあります。

 いずれにしましても、対等な立場にある者同士で合意した契約の内容については第三者はもちろん国家権力からも干渉されることはないというのが原則です。

トラブル防止のため
 例えば、売買契約の場合、「代金の支払時期や場所」「代金不払いがあった場合の解除条件」「契約不履行があった場合の遅延損害金」などは契約書に定めがなくても大丈夫です。何故ならこれらは民法等に規定があり、法律が適用されるからです。但し、上記の「契約自由の原則」によって、当事者が法律の規定と違った、または法律に規定がない契約を結ぶ場合は契約書を作り、そこにちゃんと明記しておく必要があります。当事者間で自由に結ばれた契約は、お互いのために、その当事者間だけで決められたオリジナルの約束なのですから第三者には通用しません。仮に一方に約束の不履行があったとして、権利実現のため仕方なく裁判所に願い出ることになっても自分の権利を証拠をもって主張できなければ裁判は負けることになります。

 契約書はそういった際の証拠物にもなりますが、それよりもむしろ裁判沙汰にならないために作るべきでしょう。契約当事者が間違いなく、滞りなく権利を実現し義務が果たせるように、そしてお互いが良好な関係を保ちつつ、共に繁栄できるように双方がしっかり確認の上、契約書を作るべきだと考えます。

契約書の記載事項
 契約内容は契約する当事者によって異なるわけですから、契約の数だけ異なった契約書が存在することになります。ですのでここでは、様々な契約書で共通する一般的な事項をご案内します。

・契約書の名称(「売買契約書」とか「賃貸契約書」といったタイトルです)
・前文(「○○を甲とし、△△を乙とする」などと当事者を表示し、契約書で定められる結論を簡単に記載します)
・約定事項(契約当事者間の取引内容を記す、重要な部分です。「第○条」のように、法律の条文と同様な形で記載していきます)
・後文(契約書の締めくくりとして、「本書を○通作成し、当事者誰々が保有する」等の記載をします)
・日付、契約当事者の表示(契約書作成日と当事者の署名捺印をいれます)

 またケースに応じて、手付に関する事項、期限の利益喪失条項、契約解除条項、損害賠償条項、裁判管轄などを決めて契約書に記載しておくことも必要でしょう。

 

 

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